衆院で22日、国民民主党や立憲、共産、自由、社民の野党5党が提出した茂木敏充経済再生担当大臣不信任決議案の本会議採決が行われ、賛成少数で否決された。採決に先立ち、国民民主党の稲富修二議員が賛成の討論を行った。
稲富議員は不信任決議案に賛成する最大の理由として「茂木大臣が多くの問題を含んだ『TPP11協定』を推進し、署名を行った当事者であること」だと指摘し、(1)一昨年の国会で安倍内閣により強引に承認させられたTPP協定の内容をほとんど引き継いでいること(2)わが国の国内農業への深刻な打撃が必至であること(3)交渉経過にかかる情報公開がまったくなされていない点――などの問題点を列挙した。
決議案に賛成する第2の理由としては「経済再生担当である茂木大臣がアベノミクスの司令塔として日本社会の格差拡大を進めたこと」、第3の理由としては「茂木大臣が財政再建という国家の重大な政策課題を担当する大臣でありながら、放漫財政を放置していること」を指摘。「茂木大臣は、旧民進党が参議院に提出した、2018年度に限って赤字国債の発行を認める法案を握りつぶし、本来プライマリーバランスの黒字を達成すべき年度まで特例公債を出すことを何ら疑問視しておらず、遺憾に堪えない」とも指摘した。
稲富議員は、「これ以上、茂木敏充君が大臣を続けることは、わが国のためにはならないことを確信する。アベノミクスは6年目に入り、財政も金融も当初の目的を達せられないことが明らかになってきた。アベノミクスという言葉自体が空虚に聞こえるようになってきた。また、安倍総理の答弁と真っ向から反する愛媛県の新文書が明らかになったが、森友・加計問題などによって国会の議論は大いに歪められている。うそや隠ぺい、改ざんを繰り返し、国会からTPPや財政金融化などの大切な政策論争を奪ってきた責任はひとえに政府・与党にあることを強く申し上げる。アベノミクスの司令塔たる茂木大臣が自ら辞任されることが最善」と語ったうえで、衆院としての不信任決議案の可決を呼びかけ、賛成討論を締めくくった。