札幌市清田区の液状化災害地を視察する古川災害対策本部長ら

 古川元久災害対策本部長と吉良州司同副本部長は15日、北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた札幌市清田区周辺、安平町、厚真町及びむかわ町を訪問した。宮坂尚市朗厚真町長、及川英一郎安平町長、竹中喜之むかわ町長と面談、各自治体の災害対応部局担当者から状況説明を受けるとともに、被災した住民からも直接話を聞いた。北海道選出の山岡達丸衆院議員、平賀貴幸北海道連幹事長(網走市議)も同行した。

札幌市清田区周辺

 札幌市では陥没した里塚中央ぽぷら公園や周辺の住宅地を視察、札幌市建設局の担当者から被害と復旧状況の説明を受けた。14日時点での被害は、死者1人、重傷1人、軽症235人、全壊13棟、半壊38棟、一部損壊265棟との説明があり、液状化の被害が大きかった清田区では、里塚中央ぽぷら公園で約2.2mの沈下、遊具施設の破損や傾きが確認された。また、周辺の被災建築物への応急危険度についても判定が始まっており、現状、調査した366戸のうち危険85戸、要注意88戸と判定されている。

 担当者によると、「河川暗渠部分なので今後も予断を許さない。調査して着工などと悠長なことを言っていられないので、被害が拡大しないよう注意深く監視しつつ一日も早く復旧作業を始める必要がある」、また、被害にあった住宅の住民からは、「沈下が収束したわけではないので不安が残る。二次被害を防ぐためにも一日も早い復旧工事の着工を望んでいる」との話を聞いた。古川本部長は「被害を目の当たりにして不安な気持ちが手に取るように分かる。国民民主党としても全力で支援するので、何でも言ってきて欲しい。くれぐれも体調に留意してほしい」と声を掛けた。

札幌市建設局の担当者から清田区周辺の被害・復旧状況を聞く

札幌市建設局の担当者から清田区周辺の被害・復旧状況を聞く

安平町

 安平町では及川秀一郎町長と面談し被害状況の説明を受けた後、災害ボランティアセンターを視察した。安平町では町民向けのコミュニティテレビ放送「あびらチャンネル」で、毎朝行われている情報共有会議を繰り返し流すことにより、住民で情報の共有を図っており、住民不安をだいぶ和らげたとのことで、一行は情報伝達・共有の重要性をあらためて認識した。また、新潟や岩手、道内周辺の自治体から職員が支援に入り、罹災証明の発行や住民への対応などを実施、大変助かったとのことであった。及川安平町長は、「建設・農業・教育への被害を合わせると100億円程度、これは年間予算なみの被害になりそう。復旧にもいろいろとステージがあるので、それに応じた支援をお願いしたい」と述べた。

安平町の及川秀一郎町長と面談する一行

安平町の及川秀一郎町長と面談する一行

安平町のボランティアセンターを視察・激励

安平町のボランティアセンターを視察・激励

厚真町

 厚真町では宮坂尚市朗町長と面談、避難所視察を訪問、その後、土砂崩れの現場となった吉野地区を視察した。宮坂町長は、「今回の地震で一番多い36人の犠牲者が出て、全員が土砂崩れの犠牲となった。これからインフラ復旧はもちろんだが、個人の生活の再建も並行して課題になる。被害額はインフラで360億円程度か。町の財政負担軽減についてお願いしたい。今後、報告、査定、工事のステップを踏むが、国交省は簡易検査で受けてくれるので、全ての省庁でも対応を簡略化して欲しい。また、上流のダムが決壊するというデマを裏を取らずにマスコミが流して一時大変な状況になった。本当はそんなことはなく全く安全な状況。こうした報道のあり方も今後の課題になる」と述べた。避難所視察では、段ボールで作った簡易ベッドで暮らす避難者に古川本部長が「国政としてもやれることは全てやるから、何でも言ってきて欲しい。くれぐれも体調に気をつけてほしい」と激励した。

厚真町の宮坂尚市朗町長と面談

厚真町の宮坂尚市朗町長と面談

土砂災害の犠牲者に献花する一行

土砂災害の犠牲者に献花する一行

厚真町の避難所を視察・激励

厚真町の避難所を視察・激励

むかわ町

 むかわ町では竹中喜之町長と面談、倒壊現場となった箇所を視察、その後にJA鵡川から農業関連施設の被害状況について説明を受けた。竹中町長からは、被災家屋解体への補助や被災者住宅の早期対応をはじめとした7項目についての要望書を受け取った。JA鵡川では、組合長理事の長門氏より、生産物の出荷に重要な集出荷施設や乾燥調製施設といった共同利用施設が大きな被害を受けたこと、停電による生乳の廃棄や冷蔵庫に保管していたトマト、ほうれん草、キャベツなどの生産物が多大な損失を受けたことなど、農作物被害全般の話を聞いた。

むかわ町の小坂利政町会議長から要望書を受け取る古川本部長

むかわ町の小坂利政町会議長から要望書を受け取る古川本部長

JA鵡川で農業関連施設の被害について要望を聞く

JA鵡川で農業関連施設の被害について要望を聞く

 視察を終えた古川本部長は「このような前例のない災害には、前例にとらわれない対応が必要だ。被災者に寄り添い、たんに元に戻るのではなく、将来につながる復興、災害前以上に発展するような施策を進めていきたい。ブラックアウトをはじめとした電力に関する検証もしっかりと行いたい。党を挙げて全力で取り組んでいく」と述べた。