国民民主党・石上俊雄参院議員

 国民民主党・新緑風会の石上俊雄参院議員は31日、参院本会議の代表質問で会派の2番手として質問に立った。石上議員は通常国会終了から3カ月間、全国各地を回って仲間や支援組織である「電機連合」の組合員などから聞いた、最も要望の高かった意見や関心事をもとに、産業政策、労働政策、社会保障を中心に質問を展開した。安倍総理、麻生大臣はいずれも一般論に終始し、踏み込んだ答弁は得られなかった。また片山さつき地方創生相は、「記事にあるような不法な口利きはしていない」などと疑惑報道の記事内容を否定した。以下は質問の要旨。

●トランプ大統領へ直言を

 米国トランプ大統領による「米中貿易摩擦」の余波を受け、わが国の製造業では好調だった産業ロボットや工作機械、電子部品の製造装置などで対中国投資の落ち込みが懸念されている。これ以上の対立激化はわが国の経済にもマイナス。安倍総理から友人としてトランプ大統領に「保護主義の行先は勝者なき戦いだ」としっかり直言するべきではないか。

●デジタル革命への取り組み不足

 日本政策投資銀行が今年8月に公表した「企業行動に関する意識調査」で、わが国の製造業・非製造業計1168社に人工知能・ビッグデータ利活用についてヒアリングした結果、38%が「活用の予定なし」、34%は「関心もない」だった。これでは政府の成長戦略、「コネクテッド・インダストリー」が理解されているのか疑問符がつく。政府が打ち出した3年限定の「固定資産税ゼロ」で企業の「デジタル革命への取り組み不足」は解決可能なのか。

●レセコン改修というSEの長時間労働問題

 国の予算編成の硬直したスケジュールのなかで、2年に一度の「診療報酬改定」に伴い、大勢のシステムエンジニアたちが診療報酬明細書を作成する専用ソフト(レセコン)改修のために短納期・不眠不休の過酷な長時間労働にさらされている。この長年放置され続けた構造的問題を内閣として解決するべきではないか。

●拡大する社会保障給付費と保険料収入の差

 年々拡大する「社会保障給付費と保険料収入の差額」をどう考えるか。最終的に消費税率はどこまで上がるのか。政府がまずやるべきは徹底的な無駄遣い減らしだ。一方で、5年先延ばしになったプライマリーバランス(PB)回復公約の実現性はどうなのか。公約が破棄された場合、総理は政治責任をどう取るのか。

●生命保険関連税制の強化充実

 持続可能な社会保障制度の確立のため、より多様化する国民の生活保障ニーズ対応の観点からも、「自助」である生命保険の関連税制の抜本的な強化・充実が必要だ。金融担当大臣の認識を問う。

●口利き疑惑報道の説明責任果たせ

 片山総務大臣に「口利き疑惑報道」が投げかけられている。裁判を起こすのは自由だが、それを理由に説明責任を回避出来るという考えは間違いだ。大臣を務める前に、まず自らの説明責任を国民の前で果たすべきではないか。

●麻生財務相は留任固辞すべき

 一連の財務省の不祥事の責任を負うはずの麻生財務大臣が、なぜいまだに居続けるのか。総理に頼まれても、西郷どん最期の言葉ではないが「もうここでよか」と留任を固辞すべきだったのではないのか。

●政権の求心力維持、レガシー目的の憲法改正は的外れ

 安倍総理がこのままだと憲政史上最長の在任期間を迎える。記録達成までの間に、多くの国民や与党公明党も乗らない政権のレガシーづくりや、求心力維持の「憲法改正」を唱え続けるのは有益とは思えない。むしろ異次元緩和策の出口戦略のように、上った山の頂から降りる「下山の思想」が必要だ。「晋どんもうここでよか」と言いたい。

PDF「石上俊雄議員参院本会議代表質問予定稿」石上俊雄議員参院本会議代表質問予定稿

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