入管法改正案について質問に立つ階猛議員

 衆院本会議で13日、入管法の改正案の趣旨説明と質疑があり、国民民主党からは、階猛議員が質問に立った。階議員は、以下のような論点などについて安倍総理らにただしたが、明確な答弁がなく、異例の再質問、再々質問に及んだ。

 同法案は、人材を確保することが困難な状況にある産業分野に属する技能を持つ外国人の受け入れを図るため、当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格の制度を設けることなどを定めようとするもの。

(1)白紙委任法案であり、国会の権限を冒しているのではないか

 本法案は「骨太方針2018」の内容をほとんど変えずに法文の形に整えたものだ。肝心の内容は、省令に委任している。白紙委任法案で、唯一の立法機関である国会の権限を冒しているのではないか。

(2)年内にまとまる「総合的対応策」を踏まえて立案すべきではないか

 政府が年内にまとめようとしている「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」を踏まえて立案すべきでなかったか。

(3)受け入れ企業側の「生産性向上」や「国内人材の確保」への取り組みを考慮すべきでは?

 受け入れ業種・企業ごとに外国人労働者の受け入れ規模を定めるにあたり、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行ったかどうかは考慮するのか。

(4)様々なファクターを勘案した、中長期的な受け入れ上限数の設定をすべきでは?

 政府は、外国人受け入れの規模を単年度のフローの数字で示すだけでなく、生産年齢人口の推移や、労働参加率、AI・ITによる省力化なども勘案し、中長期的な受け入れ上限数を示すべきではないか。

(5)技能実習制度は廃止すべきではないか

 本法案施行後は、技能実習生の多くが特定技能1号資格を取得して日本で働くことが予想され、本来の制度趣旨からますます遠ざかることになる。また実習生の多くが、劣悪な環境に置かれる技能実習制度は、すみやかに廃止すべきでないか。

(6)来年4月施行にこだわるべきではないのではないか

 新たな外国人労働者の受け入れ制度を開始する前に、検討すべき論点は数多くあり、本法案の審議は、関連委員会との合同審査を交えながら時間をかけて行う必要がある。来年4月の施行にこだわる必要はないのではないか。

 これらの質問に対し、安倍総理は、(1)受け入れ人数については、現在精査中であること(2)その数字は、業界ごとの異なる雇用情勢などを踏まえたものとなること(3)この数字を受け入れ人数の基本的な上限として運用することになること(4)受け入れ人数見込みを5年ごとに更新すること(5)技能実習制度については、昨年末からその運用を見直ししているところであり、日本人と同党の賃金の確保に努めること、(6)地方の労働力不足の解消にもつながるはず、などと回答した。

階議員による再質問・再々質問

 その後、政府側の答弁が不十分、との階議員の指摘で再質問が行われた。外国人労働者の受け入れ人数の設定に際しては、受け入れ企業の生産性向上や国内人材の確保への取り組みを考慮すべきではないか、との再質問・再々質問に対して、安倍総理は、それらが外国人労働者受け入れの前提となるとは認めたものの、具体的内容を法文に書き込むことについては、個別に検討していく必要がある、としてこれを拒否した。

 また技能実習制度について、労働法令違反の事例が多いことを直視し、総理自らが技能実習生の声を聴くべきではないか、との再質問・再々質問に対しては、安倍総理は昨年11月に施行された改正法案を盾に、正面からは答えなかった。

PDF「衆院本会議入管法等改正案階猛議員質問予定稿」衆院本会議入管法等改正案階猛議員質問予定稿

再質問に立つ階議員

再質問に立つ階議員