衆院本会議で漁業法改正案について質問する緑川貴士議員

 衆院本会議で15日、漁業法等の一部を改正する法律案の改正案の趣旨説明と質疑があり、国民民主党からは緑川貴士議員が質問に立った。

 同法案は、適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるため、資源管理措置並びに漁業許可及び免許制度等の漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直すとするもの。

 冒頭、緑川議員は日本農業新聞が安倍内閣の農業政策について行った意識調査で「全く評価しない」が39.7%、「どちらかといえば評価しない」の33.7%と合わせ、農政を評価していない人が73%あまりに上ったことを紹介し、吉川農林水産大臣がこの意識調査結果で示された現場の声をどのように受け止め、政策に生かすかをただしたが、吉川大臣は特定な報道機関が行った調査には回答しないと答えたのみだった。

 緑川議員の質問の要旨は次のとおり。

 (1)日本の水産業は今後どのように発展していくことが望ましいと考えているのか(2)漁業者の所得向上について、今の水準からどの程度の向上を目指し、いつまでにそれを達成するのか(3)資源管理の目標とする水準(4)TAC(漁獲可能量)の対象魚種の拡大やIQ(漁獲割当)方式の導入について、漁場環境が地域によって異なる現場の漁業者の理解、納得をどこまで得ているのか(5)漁獲割当量の他者への移転による寡占化(6)漁業権を付与する者の決定方法が極めて不明確であること(7)今回の改正で既存の漁業権者が権利を継続する前提にある「漁場を適切かつ有効に活用していると認められる場合」という条文は具体的にはどのような状態を指すのか。

 緑川議員は質問の最後に、「『民間活力の最大限の活用』が大切なことはいうまでもないが、漁業権の付け替えの前に、浜に長らく根ざしてきた地元漁業者が共同管理の年間計画をつくり、それを幾度も見直すなど、きめ細かい調整をした上で浜全体が有機的にまとまって管理されていること、これこそがコミュニティの維持には欠かせない持続可能な浜づくり、地域づくりの大前提だ」と強調した。

 質問に対し、吉川大臣は、(1)全国各地で個性を生かした多様な漁業が持続的に営まれていくことが将来の水産業のあるべき姿(2)漁業所得の具体的目標や達成年限は定めていない(3)漁獲可能量の設定にあたってはMSY(最大持続生産量)を実現できる水準に資源を維持・回復することを目的とする(4)さまざまな意見交換の機会を通じて漁業関係者や全国団体の理解をいただいている(5)農林水産大臣や都道府県知事の認可を受けた時に限り、漁獲割当の移転ができるとしている(6)法律で詳細かつ全国一律に漁業免許の優先順位を定める仕組みを改める(7)将来にわたり漁業生産力を高めるために漁場を活用している状況だ――などと答弁した。

PDF「衆院本会議 漁業法改正案 緑川貴士議員質問予定稿」衆院本会議漁業法改正案 緑川貴士議員質問予定稿

質問する緑川議員とそれを聞く吉川大臣

質問する緑川議員とそれを聞く吉川大臣