外国人労働者受入れ拡大法案について質す後藤祐一議員

 衆院予算委員会で26日、国民民主党から後藤祐一議員が集中審議(内外の諸情勢)の質疑に立った。「外国人労働者受入れ拡大」「首脳外交(日ロ)」「消費税増税に伴う緩和措置」「桜田大臣の担務および資質問題」について安倍総理と所管の大臣らに質問した。

●外国人労働者受入れ拡大

 後藤議員は現行の技能実習制度と異なり新制度では転職が自由になるため、地方で外国人労働者の雇用を担保できるのか、地方の人手不足の対策などについて政府にただした。山下法務大臣と安倍総理は「懸念に留意しつつ、地方での人材不足を解消したい」と回答したが、具体的な対策は示されなかった。

 また、技能実習生の賃金が安い原因として、海外からの受け入れにブローカーなどが介在し、中間マージンが発生している点を問題提起した。技能実習制度全般に関する総合的な支援機関として発足した公益財団法人国際協力研修機構(JITCO)が事業費17億円のうち15億円近くを人件費に計上し、役員15人のうち7人が中央省庁からの再就職者であることや外国人技能実習機構の存在を挙げ、中間マージンや天下りをなくして、外国人労働者の賃金を高くするべきだと主張した。

JITCOへの天下り

JITCOへの天下り

技能実習制度関連の天下りについて片山さつき大臣を質す後藤議員

技能実習制度関連の天下り問題について、片山さつき内閣府特命担当大臣にただす後藤議員

 後藤議員は、国民民主党が先週発表した対案の骨子を示し、政府案の成立を先送りし、その間に6カ月かけて次の8つの課題(1)地方の人材確保への配慮(2)客観的かつ合理的な受け入れ上限(産業別・地域別)の設定(3)適切な外国人労働の待遇を確保するための配慮(4)在留資格の変更に際しての一時帰国(5)現行の各種受け入れ制度の実態把握に基づいた抜本的見直し(6)適切な社会保障制度と教育制度のあり方(7)家族帯同など人権的な配慮(8)多文化共生施策の充実――について検討し、「世界に選ばれる国」を目指すべきだと述べた。

入管法改正への国民民主党の再検討要求項目

入管法改正への国民民主党の再検討要求項目

●首脳外交(日ロ)

 後藤議員は読売新聞の世論調査で、安倍総理とロシアのプーチン大統領が今月、平和条約締結後に北方領土4島のうち、歯舞、色丹の2島を引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることを合意したことについて、国民の6割以上が「評価する」と答えたことを紹介した。

 具体的な北方領土返還交渉に臨む政府の姿勢として(1)2島先行返還(2)2島+α(3)2島レンタル――のうち、国民の大半が(1)「2島の返還を先に実現し、残りの島の交渉を続ける」を希望していることに触れ、安倍総理に(3)はありえないと述べた。安倍総理は世論調査の結果を受け止めて交渉していくと答弁したが、交渉内容を明らかにしなかった。

 また、懸案となっている北方領土返還後の米軍の配備について、安倍総理に日米間で安保条約・日米地位協定を見直すべきだと求めた。

北方領土問題パネル

北方領土問題パネル

「外務省機密文書日米地位協定の考え方増補版」

「外務省機密文書日米地位協定の考え方増補版」

北方領土交渉について安倍総理を質す後藤議員

北方領土交渉について安倍総理を質す後藤議員

●消費税増税に伴う緩和措置

 2019年10月に予定する消費増税への経済対策として、安倍総理が22日、クレジットカードなどを使ってキャッシュレス決済した際に5%のポイント還元を検討する考えを表明したことに、後藤議員は、読売新聞の世論調査で6割の国民が反対、特に50代以上の中・高年齢層が反対していることを問題提起した。

 このポイント還元の実施期間が増税から20年夏の東京五輪前までの9カ月間となっている点について、東京オリンピック後の景気に悪影響を及ぼすのではないかと懸念を表明し、安倍総理に9カ月間を延長すべきではないかと質問した。安倍総理は「今の段階では適当だと思っている」と回答した。

●桜田大臣の担務および資質問題

 後藤議員は桜田オリンピック・パラリンピック担当大臣が代表を務める選挙区支部が、去年5月、政治資金規正法で定められた、同じ団体から受け取れる上限を50万円上回る、200万円のパーティー券収入を得ていたことに触れた。桜田大臣がパーティー券の購入者に50万円分を返却するまでの間は違法状態であったとの認識を表明し、安倍総理に「違法状態にある大臣は罷免すべき」と要求した。

政治資金規正法違反について桜田五輪担当相を質す後藤議員

政治資金規正法違反について桜田五輪担当相を質す後藤議員