大野元裕参院議員は28日午後、参院本会議で国民民主党・新緑風会を代表して「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」の質疑に立ち、安倍総理と所管の大臣らに質問した。
同法案は、人材を確保することが困難な状況にある産業分野に属する技能を持つ外国人の受け入れを図るため、当該技能を有する外国人に係る新たな在留資格の制度を設けることなどを定めようとするもの。27日に衆院で可決され参院に送付された。
冒頭、大野議員は北方領土に関する政府の立場について安倍総理に4島一括返還の前提が変わらないことを確認した。
次に、大野議員は入管法は「国の形を変えかねない大きな政策変更であり、国会における充実した議論が前提だ」とし、「議論は不十分で先送りの答弁ばかり、重要な項目が法律事項になっていない」と述べた。
また、「国民民主党は、外国人労働者受け入れ再検討を要求する対案を速やかに提出する。施行を6カ月間延期し、その間に全ての外国人労働者等に関する制度のあり方に検討を加えることを求めている」と述べた。具体的には(1)業種・職種のみならず、地域別の受け入れ数を定めることを法律に明記する(2)業種内で移動する際には、いったん出国させ、それから業種や地域的ニーズに合わせて再審査する制度を法律に盛り込むことを提案した。
最後に、政府に政省令ではなく法律で制度を定める努力を強く求めた。安倍総理や所管の大臣らから具体的な回答はなかった。
質問要旨は次のとおり。
- 法的根拠なくロシアに占拠されているわが国固有の領土である4島の返還というこれまでの政府の立場を明言し、1993年東京宣言を交渉の基礎として、4島一括合意を行うという立場は不変で、わが国領土を外国に渡す初めての総理にはならないと断言されたい。
- 入管法案を拙速に参院に法案を送らなければならなかった理由。
- 参院では丁寧な国会審議に付すか。
- どのような業種、職種で、それぞれ何人程度の人手不足が生じており、それがどのようにわが国経済の持続可能性を阻害するのか。
- 生産性向上や女性、高齢者等の国内人材の確保のための安倍政権の政策的取り組みが功を奏さなかった理由。
- 来年4月に法施行しなければならない理由。
- 施行を6カ月延期したら何万人もが帰国するのか。
- 施行を延期して、これまでに指摘された多くのリスクを検討すべきではないか。
- 受入れの上限についての規定がない理由。
- 業種・職種のみならず、地域別の受け入れ数を定めることを法律に明記すべきではないか。
- 業種内で移動する際には、いったん出国させ、それから業種や地域的ニーズに合わせて再審査する制度を法律に盛り込むべきではないか。
- 特定技能の外国人及び家族について、健康保険に加入するのは何人くらいで、それによる国庫負担はどれくらいになるのか。
- 健康保険は海外在住の扶養家族に対しても適用されるのか。
- 海外における健康保険の不正利用の実態を把握し、それに対する対策は考えられているのか。
- 特定技能第1号人材に被扶養家族の帯同を認めない理由。
- わが国政府が海外に派遣する公務員等の扶養家族に税金から支払いを行うことは適切か理由を。