水道法改正案に反対の討論を行う稲富修二議員

 衆院本会議で6日、政府提出の水道法改正案の採決が行われ、与党の賛成多数で可決した。採決に先立ち国民民主党・無所属クラブを代表して稲富修二議員が反対の立場から討論を行った。

 稲富議員は、本法案の中でも(1)震災への備えとなる水道事業者等に施設の維持・修繕を義務付ける規定(2)都道府県に水道事業者等の広域的な連携の推進役としての責務を規定し、都道府県が水道基盤強化計画を定めたり、広域的連携等推進協議会を設置できるようにすること――などは必要な改正事項だとの考えを示した。

 一方で、新たに導入される「コンセッション方式」については、(1)事業者が水道事業の許可を得る必要がなく、水道法上の責任の所在が不明確になること(2)自治体職員の転籍、災害時の責任の所在や役割分担など、自治体が策定する枠組みに委ねられてしまっていること(3)水道技術の技術継承を困難にし、地方公営企業の技術力、人的基盤の喪失につながるおそれがあること――の3点の問題を指摘し、本法案について「命と生活を支える水道の基盤を壊しかねない」と反対の理由を説明した。

 さらに、こうした問題点があるにもかかわらず、政府・与党が野党の審議要求を一顧だにせず、一方的に衆院厚生労働委員会での質疑を省略し採決を強行した(※)ことについて「国会軽視の許されざる暴挙だ。臭い物に蓋をするため、国会審議を行わず、国会議員としての職責を果たさない政府与党の姿勢に抗議する」と述べ、討論を終えた。

 (※)本法案は第196通常国会の7月5日に衆院で可決し参院に送付されたが、会期不継続の原則により第197臨時国会では参院が先議院となり、12月5日に可決して衆院に送付していた。