衆院本会議「地方税法等の一部を改正する法律案」「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案」「地方交付税法等の一部を改正する法律案」「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案」稲富修二議員

 2日未明の衆院本会議で、国民民主党の稲富修二議員は「地方税法等の一部を改正する法律案」「特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案」「地方交付税法等の一部を改正する法律案」に反対の立場から、「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案」に賛成の立場から討論を行った。

 毎月勤労統計調査の不正により2018年の実質賃金が上振れしたと批判。アベノミクスの問題点として、実質賃金が伸びていないことを指摘してきており、高齢化による大量退職時代を迎えて人手不足なのに「なぜ賃金が上がらないのか」は、現在の日本経済における大問題だ。しかし、こうした問題に正面から向き合おうとせずに、統計の数字を動かして、賃金が上がったことに見せかけるようなことがあれば、到底許されるものではないと断じた。

 ふるさと納税制度は返礼品競争の過熱で特定の自治体に寄付が集中し、本来恩恵を受けられるはずの地方の町や村でも、税収流出に苦しんでいる。また、高所得者ほど控除額の上限が高くなり、所得再分配とは正反対の方向へ向かっていると批判した。

 自動車関連諸税について、政府与党は車体課税を減税したとしているが、消費増税と合わせると増税となる。ユーザー負担を軽減し、家計を支援する観点からの改正を引き続き求めるとした。

 地域間の財政力格差が拡大している中で、今回の特別法人事業税・特別法人事業譲与税の創設は地方法人課税における税源の偏在を是正し、地域間の財政力格差拡大に対応するための措置ではあるものの、都市と地方の構造問題自体には何ら切りこんでおらず、抜本改革には程遠いと批判した。

 森林環境税・森林環境譲与税については、森林環境税の賦課の方法、対象、使途に疑問点や課題があるが、わが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する必要に鑑み、賛成するとした。

 最後に、安倍内閣の税財政政策に一貫しているのは高所得者を優遇する基本姿勢で、ここが根本的に問題だとした。ふるさと納税、住宅ローン減税、消費税の軽減税率、ポイント還元制度、幼児教育無償化なども高所得者の方がより得をする。安倍内閣のように高所得者への優遇税制をいくら繰り返しても、格差は拡大するばかりで、日本経済は再生しない。高所得者優遇の複雑な税制をやめて、「公平・中立・簡素」という租税3原則に立ち返り、中間層を復活させることこそ必要であり、歯を食いしばって仕事や家事・育児、勉学に励んでいる多くの国民の将来不安を取り除くことが税制に求められていると訴えた。