参院本会議 長期契約法改正案・大野元裕議員

 参院で15日、「特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(長期契約法改正案)の趣旨説明に対する本会議質疑に国民民主党の大野元裕議員が登壇し、政府の姿勢を厳しくただした。

 本法案は防衛装備品等の調達のコスト縮減、計画的、安定的調達のため、国庫負担行為で支出できる年限の上限を5年を超えて、10年までの長期契約を可能にするもの。

 大野議員は、本法案は2015年に当時の民進党も賛成して議決された特措法の年限を5年間延長しようとするものだとし、「国民の血税をもって賄う支出については、憲法第83条によって国会の議決が必要であること、86条に予算の単年度主義が定められている。この法案審議に際しての慎重な議論と付帯決議が示すとおり、本特措法は例外的措置であることを、政府は強く認識しなければならない。しかしながら、これらの付帯決議が真摯(しんし)に尊重・実施されていない」と断じた。

 大野議員は岩屋防衛大臣に長期契約法の問題点を指摘した後、国民民主党は本特措法で定める債務負担期限について、10年ではなく、財政原則の例外として慎重にも慎重さを必要とすることから、過去の実績に基づき7年に改める修正案の提案を申し入れたが、岩屋大臣は「年限の期限は10年間が妥当だ」と答弁した。

 また、米国との間のFMS(対外有償軍事援助)契約は長期の国庫債務負担行為になじむのかについて質問。これまでFMSの下で部品等について長期間にわたる契約を行ったことはないことをふまえ、そのように実績を欠く上に、米国政府は自国の国益により契約を解除する権利を留保しており、本特措法適用の要件の一つである調達の安定的な実施を担保できないものであることは、15年4月21日に中谷防衛大臣が認めた通りだと指摘した。「特措法をFMSに適用することは、国内防衛産業を毀損し、将来にわたる防衛産業の育成・維持の役割を政府が放棄する宣言にも見える」と批判した。

 安倍政権下、米国とのFMS契約は5倍と、異常な額に達していることについても、「米国の貿易に関する圧力は今に始まったことではないが、過去に特措法を適用することはなかった」と反対した。

 最後に、「政府が物品貿易協定と呼称する日米自由貿易協定を巡る交渉は今月から始まる。その前に武器購入を前払いするために、財政原則をないがしろにする特措法を延長するのは本末転倒だ。安倍政権は外交的パフォーマンスこそ得意ではあるようだが、そのために国内法や制度まで変更する情けない姿勢を受け入れることはできない」と政府の姿勢を強く批判した。

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