参院本会議で27日午後、「所得税法等の一部を改正する法律案」の討論・採決が行われ、国民民主党・新緑風会を代表して古賀之士議員が反対討論に立った。
古賀議員は冒頭、国民民主党のタグライン「つくろう、新しい答え。」に基づき、税制においても、「新しい答え」をつくるため、財政金融委員会で政府に提案した内容を振り返った。(1)平成の時代にさまざまな税制改正が行われたが、格差の拡大をもたらした面もあった。国民民主党は格差是正のため、高額所得者を中心とした金融所得課税の見直しを行うと同時に、サラリーマン世帯などの老後の安心を守るため、NISAやiDeCoを拡充することを強く求めた(2)賃貸住宅に住む人たちへの支援を提案した(3)「災害損失控除」の新設を提案した――が、政府は法案を一切修正することはなかった。
本法案と付随する政策の反対理由については次のように訴えた。(1)消費税増税をめぐる、混乱を招くことが確実な軽減税率の導入に加え、「税金によるポイント還元」という政策(2)自動車のあり方が自動化や電動化によって大きく変わろうとしている中、今回の税制には、その兆しすら見ることができない。世界一の自動車大国に相応しい、世界一の自動車税制を、世界一のスピードで築き上げるべきだ――。
事実を軽視する安倍政権の体質について。古賀議員は「財務省による公文書改ざん、防衛省の南スーダン日報隠し、そして厚生労働省の毎月勤労統計の不正など、前提となるファクト自体が実にいいかげんに扱われており、政策立案の基礎が信頼できない状況だ」と断じた。政府の景気判断を取り上げ、「世界経済が重要な局面を迎えている中、アメリカ、ヨーロッパの中央銀行や中国政府が景気対策を打ち出している中で、日本政府は『戦後最長の景気回復』と、強気の姿勢を維持しているが、国民の8割は景気を実感していない」と強く批判した。
「消費税は、平成元年にスタートした。『新しい税制』をつくろうと昭和の末にもがき苦しんだ先人たちにならい、われわれも平成の末に、新しい税制をつくって新しい時代を切り開くべきだ」と反対討論を結んだ。