伊藤孝恵議員 参院本会議

 参院本会議が19日午前開かれ、国民民主党の伊藤孝恵議員は「大学等における修学の支援に関する法律案」について、柴山文部科学大臣に質問した。

 本法案は、消費税率引き上げ分を活用し、低所得者世帯の学生に対して大学授業料等の減免及び給付型奨学金の支給を行うもの。 

 伊藤議員は冒頭、閣僚や副大臣の相次ぐ辞任について、「権力を、誰のため、何のために使うべきか忘れている。安倍総理の任命責任はあまりにも重い」と断じ、予算委員会の開催を強く求めた。

 「大学等における修学の支援に関する法律案」について伊藤議員は、本年10月1日に予定されている消費税増税に係る増収分が財源として充てられることになっているにもかかわらず、昨日消費税増税について、自民党の萩生田幹事長代行が、6月の日銀短観次第では延期もありえるという認識を示したことを強く批判した。「教育に関わる大事な施策は、不安定な財源ではなく、安定した財源のもとで継続して行われるべき」だと主張した。

 伊藤議員は柴山大臣に(1)公的学生支援の根拠である憲法26条と教育基本法4条の教育の機会均等に基づき、政府が負う学生支援義務と、公的負担による家計の教育費負担軽減の必要性(2)非進学者から進学者への所得の逆進的再配分の不公平感の是正(3)「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」における「無償教育の漸進的な導入」を5年以上もの間、放置した理由(4)支援措置の対象範囲の拡大(5)漸進的無償化の今後の見通し(6)増税が見送られても財源を確保できるよう附則第4条に修正を加えること(7)本法案はなぜ日切れ扱いなのか(8)増税を見込んで学費を便乗値上げする大学への対応(9)授業料減免制度の縮小や制度の後退が起こらないよう、各大学の主体的な取り組みを阻害することのないよう配慮する規定を法案に盛り込む必要性(10)いま減免対象になっている在校生が途中で支援を打ち切られるようなことがないようにするための施策――などについて質問した。

 最後に、伊藤議員は本法案が提出されるに至ったきっかけについて、「2017年5月3日に安倍総理が憲法改正案に高等教育の無償化を盛り込むと宣言し、その後9月に、衆議院の解散理由を述べた記者会見において突如、社会保障と税の一体改革で決まっていた消費税増税分の使い道を、幼児教育や高等教育の無償化等に充てると言い出したことに始まった」とし、「政治的に生まれたものは、政治的に変質する可能性がある。哲学なき政策は必ずほころぶ。本来の教育無償化とは、家計の所得に関わらず、全ての学生を対象に授業料や給付型奨学金を支給することだ」と質疑を結んだ。