衆院本会議 緑川貴士議員
 衆院本会議で25日、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質疑が行われ、国民民主党・無所属クラブの緑川貴士議員が吉川農林水産大臣らに質問した。
 この法案は、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図るため、樹木の採取に適する相当規模の森林が存在する国有林野の一定区域において、木材の需要者と連携する事業者が安定的に樹木の採取を行うことが可能となる権利を創設するとともに、森林所有者等と木材の需要者との連携により木材の安定供給を確保する取り組みに対し金融上の措置等を講じる――というもの。
 緑川議員は冒頭、本改正案を作る過程のあり方に疑義を呈した。これまで農林水産大臣の諮問機関である林政審議会が、森林・林業基本法に基づいて森林・林業基本計画の策定、森林・林業白書の作成など重要事項について調査審議をしてきたが、今回は安倍総理が議長を務める未来投資会議の委員が国有林改革をさかんに主張していたことを受けての立案だと指摘。
 この首相官邸主導の政策形成について昨年11月、当時の林政審議会施策部会の土屋俊幸部会長が「トップダウンで政策の枠組みが決まってしまったというのが現実にある」「専門の方でない方が、かなりこういう突っ込んだ戦略を出してきて、それを受けてわれわれが、もしくは林野庁、農林水産省が新たな政策を検討しなくてはならない状況というのは、やはり転倒している」との部会発言を引き合いに出し、検討のプロセスが適切であったのかについて農林水産大臣に見解を求めた。
 そのほか、国有林野の果たす役割の維持に関して「国が責任を持って一体的に国有林を管理し公益的機能は維持できるのか」、林業経営者への樹木採取権設定条件については「民有林材との住み分けをはかった供給体制にしていくことで、事業規模や価格競争力のみにとらわれない、事業体の生産性をカバーできるような観点も重要ではないか」、自伐型林業を志す若者に対して「林業経営への支援を行い、過疎対策・移住政策にもつなげていくべきではないか」などと農林水産大臣に迫った。
 最後に緑川議員は、安倍政権に対して「『攻めの農林水産』、『成長産業化』と勇ましい言葉が踊った時代だが、一体、誰のための見直しで、地域に何をもたらすのか。理念ばかりが先行し、『言葉のごまかし』が繰り返された時代であったと後世いわれないような、地域の実態に即した林業改革と、多様な林業の担い手に支援が行き届く道筋が描かれることを強く求める」と述べ、質問を終えた。