質問に立つ森裕子議員

 参院本会議で17日、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案の討論・採決が行われ、森ゆうこ議員が反対討論に立った。

 森ゆうこ議員は冒頭、「農地中間管理機構(いわゆる農地バンク、以下機構)は、企業の農業参入を推進してきた安倍政権が、最初に手がけた『農政改革』であり、産業競争力会議や規制改革推進会議などが現場を無視して推し進める、『官邸農政』の象徴的存在だった」と述べ、「制度創設から5年経って、機構だけでは十分に機能せず、結局は、市町村、農業委員会、農協、土地改良区などの関与がないと、農地集積は進まないことが明白となった」と断じた。

 反対する主な理由として、(1)機構は条件不利農地を預かり、担い手を探して渡すことが期待されているが、現状、全く出来ていない(2)政府の目標どおり農地集積が進まない時に、農業委員会が責任を押しつけられることにならないか、また、農協などに本来機構が担うべき業務が押しつけられるのではないか(3)米価が下落した場合に地代の未収問題の頻発、農地の出し手への地代の支払いや、契約の更新など、今後、業務量の増大に機構が耐えられるのかという構造的問題が残されている――などの問題点を指摘した。

 森議員は政府に「食料安全保障、自給率の向上、国土保全を実現するために、守るべき農地を明確にすべき。食料・農業・農村基本計画策定の際、2025年時点で確保される農地面積を440万ヘクタールと示しており、これを政策にきちんと位置付け、施策の基本とすべき。集約化、効率化だけでは、農業、農村は守れない。兼業農家、家族経営、小農、帰農など、多様な農業が営まれるように、支援を行うべきだ」と強く訴えた。

 森議員は「戸別所得補償制度、多面的機能支払い交付金など直接支払いを抜本的に充実させるべきだ」と国民民主党の立場を訴え、野党共同で、戸別所得補償制度復活法案を提出したと述べた。