参院本会議で14日、2017年度決算等の採決が行われ、国民民主党から伊藤孝恵議員が反対の立場から討論を行った。あわせて採決された「内閣に対する警告」案と「措置要求決議」案には賛成を表明した。
決算に反対する第1の理由として伊藤議員は、2017年度末の国債及び借入金残高が1087兆円に上り、前年度末から16兆円増加、5年連続では1千兆円を上回るなど、長期債務の残高が増加しているにもかかわらず、有効な対策を取れていない点などを挙げた。
第2の理由として、社会保障関係費32.5兆円と国債費22.5兆円だけで歳出決算額に占める割合が56.1%に上り、歳出項目の硬直化が続いていることから、子育て環境の整備や雇用機会の確保、児童虐待防止対策などの喫緊の課題に対して弾力的な政策運営ができない点を指摘した。
第3の理由として、毎月勤労統計での一連の改ざんや偽装で実質賃金がかさ上げされていた問題からも明らかなように、アベノミクスの成果ばかりが宣伝されているが実態が伴っていないことを問題視し、「安倍内閣の経済政策の破綻は明らかであるにも関わらず、それを取り繕い続けている点だ」と断じた。
内閣に対する警告案に賛成した理由については、毎月勤労統計での改ざん事案、公的機関での障害者の法定雇用率未達成や防衛装備品にかかるコストデータベースシステムの不適切整備などの重大かつ深刻な事案を政府が引き起こしたことについて、抜本的な改善や措置の実施を強く求めるからだと説明した。
措置要求決議案については、中高年世代を含めた引きこもりの対策強化や高齢運転者による交通事故防止の取り組み、官民ファンドのあり方や男性育休の取得推進、児童虐待防止のための児童相談所等の業務改善など、決算委員会での国民民主党・新緑風会の提案を含んでいることから賛成だと述べた。
また、伊藤議員は、政府の国家戦略特区を巡り、規制改革案を審査するワーキンググループの座長代理と協力関係にある会社が規制緩和を求める申請団体からコンサルタント料を得ていたのではないかとされる問題に触れて、「座長代理のような民間委員が、公務員であれば収賄罪に問われるような行為をしたとしても罰することが出来ない」と指摘し、現在の法律の水漏れを塞ぐため、民間人が審議の過程で知り得た情報、またはその地位を、自らの利益のために使用することを禁じる法律を国民民主党として提出する予定だと表明した。