田村まみ議員

 参院本会議で27日、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について趣旨説明が行われ、田村まみ議員が質疑に立った。田村議員は、株主提案権の行使方法、社外取締役設置のメリット、取締役会への従業員の意見を反映する仕組み等を質疑。「8割が中流で幸せだった時代を考えると、もう少し昔の日本の企業風土も取り戻すべきだ」と米国型の経営に偏りすぎないように提案した。

 両法律案は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の適正化等を図るため、株主総会資料の電子提供制度の創設、株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備、取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等の措置を講ずるほか、同改正に伴い商業登記法その他の関係法律の規定の整備等を行うもの。

 衆院に提出された時点では、株主が「不当な目的等による議案の提案」をすることを制限する規定が新設されていたが、野党共同会派立国社が「主観的な判断で株主の議案の提出を拒絶し得る」と問題視。当該規定を削除する修正を求めて、修正案が可決され参院に送付された。

 田村議員は修正案に賛成の意を述べ、今後、経営者や他の株主とのコミュニケーションを良くして、形骸化した株主総会の活性化を図る趣旨の株主提案権とその行使をどのように検討していくのかを質問した。

 社外取締役設置の義務化については、1人で何社も社外取締役を掛け持ちしていたり、官僚の天下り先になっていると指摘もあることに触れ、「本当に企業の利益につながるのか疑問」と述べた。そのうえで、社外取締役制度の設置の義務化を進めていくのであれば、「監督機能・能力を高めるべきだ」と提案。「有能な人材がいなければ、義務化することにより、むしろ企業に不利益が及ぶ場合もある」と述べた。

 また、「EUではドイツ、フランス、オランダ、ノルウエー、スウェーデンをはじめ13カ国に取締役会レベルでの従業員代表役員の選任を規定している」と例を示し、多様なステークホルダーの声を反映しガバナンスを強化するために、従業員から選出する取締役の設置など取締役会に従業員の意見を反映する仕組みの導入を検討することが必要だと提案した。 

 田村議員は、その他にもインセンティブ報酬の過度の高度化抑制のための方策、役員報酬の再一任を規制する規定を置かなかった理由、企業の労働分配率をどの程度まで引き上げるべきか、会社補償契約及び役員等賠償責任保険の意義や問題点、株主総会資料の書面交付請求の有効期間を延長することについて質問した。

PDF「会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する質問要旨」会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する質問要旨

PDF「会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する質問予定稿」会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する質問予定稿