参院本会議で4日、「給特法改正案」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案)の討論・採決が行われ、国民民主党を含む共同会派を代表した横沢高徳議員が、教職員の働き方を改善する目的に矛盾する法案内容であることを指摘しながら反対討論を行った。
教育現場で働く多くの声を聴き取りしてきた横沢議員は、「朝4時から持ち帰り仕事をしている」「勤務時間内で休憩する時間が取れる状況にない」「月100時間を超える残業をしているにもかかわらず残業代がつかない」などの時間外勤務をめぐる深刻な実態を報告。時間外勤務の上限の目安を「月45時間、年360時間」としている点について、「この上限を遵守できている学校は、数えるほどしかないだろう」と指摘。持ち帰り仕事の状況や業務量を把握し、業務量そのものを削減することが必要だと説いた。
1年間の変形労働時間制に関しては、文部科学省が導入の目的を「休日のまとめ取りによる教職の魅力向上」を図ると説明しているが、民間では職場の労働者の過半数代表による労使協定が必要となるのに対して、今回の改正案では、現場の同意なしに条例で導入できるとしている。変形期間が1年と長期であるため、現場の教員や過労死遺族などを中心に民間と同様に書面による労使協定を求める声や制度導入に反対する署名活動が展開され懸念が広がっていることなど、問題を厳しく指摘した。
このように教員の労働環境が厳しいにもかかわらず、文部科学大臣が3年後に実施予定の教員勤務実態調査の結果などを踏まえて給特法の見直しを含む検討を行うなどと答弁したことから、真に「教職の魅力向上」を進めるためには、教職調整額の見直しなどの処遇改善や定数改善を求める現場の声に耳を傾けるべきと指摘、「3年も待たずに、今すぐこの矛盾に満ちた給特法の抜本的な見直しに着手すべき」と提案し、反対討論を終えた。