森ゆうこ議員@参院予算委員会

 参院予算委員会で29日、2019年度補正予算の総括質疑が行われ、共同会派を代表し国民民主党の森ゆうこ議員が質問に立ち、(1)新型コロナウイルス感染症対策(2)拉致情報の非公表問題(3)自衛隊の中東派遣問題(4)消費税増税の影響など――について安倍総理らの認識をただした。

 政府が28日に新型コロナウイルス感染症を感染症法上の2類相当の「指定感染症」とし、2月7日を施行日とした決定に関して、施行日の前倒しが可能か、2類感染症で十分な対応ができるのか、パンデミックの危険性などについてただした。

 厚生労働大臣は、施行日について、指定感染症とすることで就業制限の措置などを行えるようになり、それに反した場合に罰則を科すことになるから、「周知期間を少なくても10日設けることがルールだ」と説明した。2類としたことについては、「厚労省ではなく、(厚生科学審議会)感染症部会で専門家が集まり決定した」と答えた。パンデミックへの対応については、日を追うごとに状況が厳しくなっているとの認識を示し、「感染症が拡大しないよう1つひとつ手を打っていきたい」などと述べた。

 拉致問題をめぐっては、北朝鮮が2014年に拉致被害者の田中実さんらの生存情報を日本政府に伝達していたにもかかわらず、政府高官が安倍総理の承認の上で、非公表と決定したと報じられている問題について「田中実さんの生存情報が北朝鮮からもたらされていたことを総理は知っていたのか」とただした。安倍総理は、「今後の対応に支障を来すおそれがあることから、具体的内容について答えることは差し控える」と答弁し、報道内容を否定しなかった。

 北朝鮮からの伝達の有無を隠している総理に対して、「これが事実なら誤った対応だ。何も動かない。せっかく情報がもたらされたのなら、少なくとも接触をし、調査をし、本人の希望はわからないが、できれば一時帰国をしてもらえれば、そこからまた事態が少し動くこともある」と指摘、政府に対応の抜本的転換を求めた。

 自衛隊の中東派遣問題については、「(日本の)プレゼンスを示すことによってより緊張状態が高まる」と懸念を示した。米国と同盟関係にあり、イランとは長年友好関係を保っている日本は、トランプ大統領にイラン核合意継続の必要性を訴えたり、国連安全保障委員会での議論を求めるなど、たくさんやるべきことがあるのではないかと総理に迫った。

 特に特措法を用意せずに防衛省設置法で自衛隊を派遣する問題に関して「自衛隊の皆さんの活動に我われは責任を持たなければいけない。行くのは私たちではない。自衛官だ。そういう形(立法措置)で政治の責任を果たすべきだ」と語気を強めた。