奥野議員

 「総理のリーダーシップと結果責任が問われている」。31日、衆院予算委員会で「内外の諸課題」を巡る集中審議が行われ、共同会派を代表し奥野総一郎議員が質問に立った。奥野議員は(1)新型肺炎対策(2)カジノを含むリゾート型統合施設の問題(3)橋本聖子大臣を巡る公職選挙法違反報道――について政府を質した。

 冒頭、奥野議員は、世界で感染が広がりつつある新型肺炎について触れ、政府が国民民主党からの申し入れの通り(※)、指定感染症の政令施行を前倒ししたこと等を前向きに評価。ただ相変わらず日本政府が「症状のない感染者」からの感染はない、という前提に立って対策をとっていることについては、「今、日本はパンデミックの瀬戸際にいる。最も厳しい想定に基づいて対策をとるべきではないか」と、政府の甘い想定を厳しく批判した。

 またチャーター機で帰国した邦人の中に、検査を拒否した人がいると報道されていることについては、「人権問題に敏感なフランスでも、検査の誓約をチャーター機に乗るための条件としていると聞いている」と指摘。日本政府に対し、より適切な対応を求めた。

 感染が報道されているバス運転手らの行動範囲の詳細等がまだ明らかにされていないことについては、「新型肺炎の致死率はインフルエンザの約2千倍とされている。もっときちんと情報開示していくべきではないのか」と政府の対応に疑問を投げかけた。

 奥野議員は「世界保健機関(WHO)が中国政府に配慮しすぎなのではないか、との指摘も出ている。『WHOがこう言っているから』と、消極的な姿勢で言い逃れするのではなく、あくまで総理のリーダーシップで解決策を示すべき。結果責任が問われている」と述べた。WHOの中立性にも疑問符がつく中、最悪のケースを想定し、あくまで日本政府による自主的な判断に基づいて対策を立てるよう、強く求めた。

 次にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の問題については、(1)日米首脳会談が行われた2016年に、トランプ米大統領が安倍総理に対し米ラスベガス・サンズ社を推薦したという海外報道の真偽(2)2016年の暮れにカジノ法案(IR推進法)を強行成立させた背景(3)カジノ事業者による無利子貸し付け制度の導入――といった点について政府見解等を質した。奥野議員は、カジノ法案が成立したタイミングや、無利子貸し付けの制度が米国商工会議所の対日要望要求に沿った内容となっていること等に触れ、日本へのカジノ導入が、米国政府等の強い後押しの下で進められたのではないか、との懸念を示した。

 日本へのカジノ導入そのものについて奥野議員は、「カジノ導入は世界的に見ると3周遅れ。海外から誰が来るというのか」「日本の金融資産を外国へ送金することになるだけだ。どこが成長戦略なのか?」と、政策の根本に疑問を投げかけた。

 最後に橋本聖子五輪担当大臣が、昨年の参院選時に雇ったウグイス嬢に対し、法定の上限を超える報酬を支払っていたのではないか、とされる問題について奥野議員は、同じウグイス嬢を他陣営とシェアし、午前と午後に分けて雇った場合、法定報酬上限である1・5万円を超過する額の報酬を支払うことも可能になる、と指摘。こうした脱法行為を許すのか?」と、高市早苗総務大臣を質した。

(※)2020年01月30日「新型コロナウイルス対策本部、 政府に万全の対策を求める緊急申し入れ」(https://www.dpfp.or.jp/article/202512/)