後藤祐一議員

 後藤祐一議員は4日、衆院予算委員会の基本的質疑に立ち、新型肺炎について政府の対応を質した。後藤議員は(1)入国禁止措置の対象となる地域を拡大する予定はないのか(2)新ウイルスが潜伏期間中に感染する可能性はないのか(3)横浜港に停泊・検疫中のクルーズ船への対応はどうすのか(4)「新感染症」指定について(5)新型肺炎対策予算の本年度予算への組み入れと即時審議、について政府を質した。

 後藤議員は、まず政府が1月31日に中国湖北省から日本を訪問する外国人、または湖北省の発行する中国旅券を持つ外国人の入国禁止措置をとったことについて取り上げた。その後、2月2日に中国政府が浙江省温州市を事実上封鎖したことを指摘し、日本政府が今後、入国禁止対象地域を広げていくつもりはないか、政府を質した。

 また中国の国家衛生健康委員会が、新ウイルスは「潜伏期間にも感染が広がるため、流行を抑えるのが困難になっている」と述べていることに触れ、潜伏期間中の新ウイルスの感染力について、政府の認識を質した。

 さらに香港で下船し、その後陽性反応を示した乗客を乗せていたクルーズ船が、現在横浜港に停泊し、検疫が行われていることについて、今後の政府対応を質した。後藤議員は(1)現在、乗船客に対しどのような検査が行われているのか(2)乗船客は、いつ頃まで船上に実質隔離されることになるのか(3)乗船客に対し、できるだけ他人との接触を控えるよう求めているのか(4)クルーズ船に対し、停留を要請できるのか、といった点を質した。

 これらの質問に対し政府は、現在船上で行われている検査は健診、問診が中心であり、乗客たちが実質隔離される期間は14日間である、と回答。また乗客たちが、他人との接触を控えるようには、特に求められていない旨を加藤厚労相が暗に認めると、後藤議員は「(14日間というのは、最初の感染者に当てはまる期間にすぎず、船上で2次感染が3次感染が起きてしまった場合)14日間という数字そのものが無意味になってしまうのではないか」と、政府対応の矛盾点を指摘した。

 また最後の「(クルーズ船に)停留を要請できるのか」という質問に対し政府は、「今の制度上、強制はできない」と回答。これを受け後藤議員は、政府が現在指定している「指定感染症」ではなく、行動計画が予め策定されていたり、より強制力のある措置がとれる「新感染症」に新型肺炎を指定すべきではないか、と主張した。そしてSARS発生(2003年)時には、政府はまず「新感染症」として扱い、そしてある程度感染が収まった後で「指定感染症」に引き下げた事例を取り上げた。