参院の予算委員会で16日、集中審議が行われ、舟山康江議員(参院国対委員長)が質疑に立った。新型コロナウィルスの感染拡大以前から、経済指標はすでに悪化していたとパネルで説明。安倍総理に(1)景気の現状認識(2)
コロナウィルス発生前における景気低迷の理由(3)
消費増税に伴う反動減対策の効果―ーについて質問した。安倍総理は「新型コロナウイルスの感染前までは景気は緩やかに回復していた」と答弁し、同日夜に行われるG7で今後の対応について確認していく考えを示したが、舟山議員は「総理の認識は甘い」と断じた。
また、政府が消費増税に伴う反動減対策として約7000億円の予算を投じたキャッシュレスポイント事業の効果が、所得や地域による格差が生じているとし、費用対効果の分析結果の提出を予算委員長に求めた。麻生財務大臣に令和2年度予算における税収見込み額の算定根拠について質問し、税収見込みは地方に影響が大きいと述べ、慎重な検討を求めた。
新型コロナウィルス感染拡大防止のために、政府が要請した休校要請やイベント自粛について、安倍総理に出口戦略の考え方を質問した。安倍総理は専門家の意見を参考に、海外政府と連携していく考えを示した。舟山議員は政府が国民に自粛を要請する際にイベントの中止や延期に伴う損失を政府がすべて補償すると説明して、国民を安心させるべきだったのではないかと述べた上で、「すべて政府が補償するというメッセージをしっかりと表明してほしい」と訴えた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的損失の試算を速やかに行うよう政府に求め、海外政府やリーマンショックに対応した時と比較して、日本政府の緊急経済対策の費用が小さく、時期が遅かったと指摘した。政府の自粛要請に伴う困窮の補償は猶予がないため、現金給付や減税などを検討するよう求めた。
森林環境譲与税の制度創設目的について高市総務大臣に質問した。舟山議員は制度の導入理由は「森林の整備及び促進」だが、実際は森林のない都市部への配分が厚く、中山間部の市町村への配分が薄い結果になっていると述べた。人口は少ないが、山間部の多い地方に配分が厚くなるよう譲与基準の人口3割を見直すべきではないかと安倍総理にただしたが、明確な回答はなかった。
日本海(特に大和堆)における違法操業問題を取り上げ、江藤農水大臣にイカ漁の水揚げ激減の理由と背景について質問した。スルメイカ水揚げ量は2009年から10年間で9割激減し、漁業従事者にとって死活問題だとし、関係省庁である水産庁、海上保安庁、内閣府総合海洋政策本部、外務省の対応を徹底するよう求めた。
最後に森法務大臣は資質に欠けており、安倍総理大臣の任命責任は重いと結んだ。