森ゆうこ予算委筆頭理事

森ゆうこ参院予算委筆頭理事

 「世界的パンデミック です。農水大臣、国民の食料は確保できますか?」。17日、参院の予算委員会が開かれ、国民民主党の森ゆうこ議員が質問に立った。森議員は、(1)自衛隊の中東派遣問題(2)新型コロナウイルスが世界経済、金融へ影響を与える中での、日銀・財務省の対応(3)黒川東京高検検事長の定年延長問題(4)新型コロナウィルス対策、等について、政府の姿勢を質した。

自衛隊の中東派遣問題

 冒頭、森議員は自衛隊の中東派遣問題を取り上げ、河野太郎防衛相を質した。

 森議員は、不測の事態が生じた場合の自衛隊の対応について、自衛隊法等に基づき5種類の類型に分けられると指摘。今回の自衛隊派遣のきっかけとなった、昨年のタンカー襲撃事件のようなケースについて「自衛隊の武器使用は可能か」と、河野防衛相を質した。

 河野防衛相は「基本的には旗国主義の原則の下、極めてまれなケースを除き、『呼びかけ』や『近接』ということになろうかと思う」と回答。これに対して森議員は「派遣のきっかけになった事件においても、自衛隊のできることは極めて限られている」と指摘。さらに森議員はイランで行われた国政選挙で対米強硬派が圧勝し、さらにはコロナウイルスの感染が世界的に拡大しているなど「状況が大きく変化している」と述べた。こうした変化を踏まえ「帰還命令を出すべきであるというふうに考えますが、いかがですか?」と、河野防衛相を問い質した。河野防衛相は「情勢が顕著に異なる変化があった場合には、国家安全保障会議を開催し、活動終了の判断も含め対応を検討することになるが。現在ではそのような状況だとは認識していない」と答弁するにとどまった。

不測の事態が生じた場合の自衛隊の対応

不測の事態が生じた場合の自衛隊の対応

新型コロナウイルスへの金融・財政上の対応

 新型コロナウイルスの影響が拡大していく中で、日本銀行や財務省が現在とっている政策の多くが、企業の資金繰りの確保などに向けられていることについて森議員は「資金繰りの話だけではない。多くの人は営業収入がゼロになっている。営業収入がゼロなんですよ。だから借り入れたくても経営者は借りられない。雇用継続したいけれど継続できない。資金繰りももちろん重要だが、そういうものだけでは対応できないのが今回の危機の大きな特徴だ。諸外国と比べ、これまでに発表した政府の対策の規模が小さすぎるのではないか」と、政府の対応を批判した。

 そしてあくまで個人的な試算、と断った上で、香港で国民一人14万円給付した例にならい、もし仮に、職種は問わず働いてお金を得ている人達全員に15万円ずつ給付するとしたら、約10兆円かかるという試算を見せた上で、「こういう給付措置というものを財務大臣、今度こそ思い切ってやっていただきたいが、いかがですか」と、麻生太郎財務相に訴えかけた。 

就業者に対して現金給付を行った場合の試算

就業者に対して現金給付を行った場合の試算

新型コロナウイルスへの対応

 新型コロナウイルスの拡散に伴い、国境を越える人の動きを制限する国々が急激に増えてきていることから森議員は「世界的パンデミックです。農水大臣、国民の食料は確保できますか?」と、日本の農産物輸入の見通しや、国内農業生産の維持、食糧備蓄の現状等について、江藤拓農水相を質した。

 これに対し、江藤農水相は、「現状においてはヨーロッパでも国境封鎖はあっても物流は止まっていないという状況だ」と説明した上で、「今のところ海外からの日本に対する輸入が滞ってるという事ではない」としたものの、世界的なパニックになった場合には、各国の生産現場において「農場に果物や生産物はあるけれども、それを収穫する人間がいない。収穫できても運ぶ人間がいない、港でハンドリングする人間がいないことになる」「最悪の場合、そういう事態になるとですねやはり深刻な事態があるって事も想定しなければならないのではないか」と述べた。また日本にはコメの備蓄が半年分、小麦が2・3か月分、大豆が1か月分あり、仮に上記のような事態となってしまった場合には、こうした備蓄農産物を放出することになる、との見通しを明らかにした。