「政府与党は、国民の声、野党の声にもっと耳を傾けてほしい」。29日午前、衆議院の予算委員会 で令和2年度補正予算案の基本的質疑が行われた。国民民主党を含む野党共同会派ならびに日本共産党が補正予算案の組み替え動議を提出し、国民民主党の岡本充功議員が提案理由を説明した。
岡本議員は「私たち野党は何よりも迅速に実効性のある対策の実行を求めてきた。そのためには、簡便な手続きで済む対策でなくてはならないとも主張してきた」と述べ、その意味では、野党が早い段階から主張してきた一人当たり10万円の一律給付を政府与党が取り入れたのは大きな前進だった、と一定の評価をした。しかし同時に「最初から国民の声、野党の声に耳を傾けていれば、こんな混乱は起きていなかった」とも述べ、政府の対応の不味さと遅れを指摘した。
この組み替え動議の内容は、(1)中小・小規模事業者等の持続化給付金の倍増(2)中小・小規模事業者等の賃料の支払猶予:事業用の不動産のテナント料について、支払猶予を行うため、5兆円の財政投融資を行う(3)雇用調整助成金について、助成率を引き上げるとともに、日額上限を一定程度引き上げ(4)新型コロナウイルス感染症対応のための地方創生臨時交付金を5兆円に増額(5)緊急包括支援交付金の改善:危険手当の創設をはじめとする医師や看護師等への支援、PCR検査体制の強化、人工呼吸器、高騰するマスクや防護服等の調達、また軽症者等受入れ施設の全国への設置などのための交付金を抜本的に拡充するとともに、国庫負担も現行の50%から100%に引き上げる(6)医療機関等支援給付金の創設:新型コロナウイルス対応等により経営環境が悪化している医療機関の経営を支える(7)新型コロナ収束後の観光需要喚起を意図した “GoTo”キャンペーン事業は、次の局面での予算計上とし、1・7兆円の歳出を削減する、等からなる。
またこれら新施策の財源として、特例公債・財投債11兆円分を追加発行する、とした。
その後、委員会討論の後に採決が行われ、補正予算案は可決、組み替え動議は否決された。