成長戦略の展開

  • 既存産業の生産性向上、新産業の創出・育成の観点から、

    • 政策資源(予算、税制、人員等)のメリハリ=「選択と集中」
    • 起業の促進=「新陳代謝の向上」
    • 就業機会と働きがいの追求=「雇用の安定・確保」
    という3つの基本方針に沿って、11分野に渡る成長戦略を展開し、雇用の受け皿である産業・企業の発展、生産性向上を実現します。

①グリーン

  • あらゆる政策資源を投入し、2030年代を目標として、できるだけ早期に原子力エネルギーに依存しない社会(原発ゼロ社会)を実現します。グリーンエネルギー革命を実現して、成長率のかさ上げと持続可能な経済社会を目指します。

【最重点施策】
  • 分散型エネルギー社会の推進・再生可能エネルギー普及加速
    1. エネルギー自給を目指す自治体支援
    2. 国の施設の省エネ・再エネ導入徹底
    3. エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)の改善
  • 世界一の省エネルギー社会の実現
    1. 事業者の省エネの見える化
    2. 建築物の断熱強化・省エネの見える化
    3. 省エネ義務量制度の導入
  • 熱利用の強化
    1. 廃熱利用の促進、廃熱量の見える化
    2. 再生可能熱利用促進
    3. 地域熱供給網の整備促進
  • 脱化石燃料の推進、水素活用社会の実現
    1. 運輸部門における脱化石燃料の推進
    2. 農林水産業部門における脱化石燃料の推進
    3. カーボンリサイクルの推進、水素活用社会の実現
  • スマートシティ・スマートグリッド
    1. スマートメーター設置の最大限前倒し
    2. 地域で最適な蓄電
    3. まちの低炭素化推進
    4. 断熱健康リフォームの推進

②ライフ

  • 遠隔医療や医療介護分野におけるICT利活用の推進、ⅰPS細胞等の再生医療の研究への更なる支援等により、ライフ・イノベーションを推進します。

  • 日本発の革新的な医薬品・医療機器等の創出により、国際競争力を強化し、積極的に海外市場に展開して需要を獲得し、経済成長を促します。

  • 治験や臨床研究をしやすい環境を整備することでエビデンスに基づいた医療技術や治療方法を確立し、海外に対する日本発の医療技術等の提供を促進するとともに、日本で治療等を受ける外国人を増やします。

  • 健康長寿社会を実現することで、高齢者の労働参加を促進するとともに、定期健診や健康指導、ロコモ対策など予防医療の充実やジェネリック医薬品の普及等により、医療費等の負担増の抑制も図ります。

【最重点施策】
  • 遠隔医療の推進
  • iPS細胞等の再生医療の研究へのさらなる支援
  • ドラッグラグ、デバイスラグの完全解消、ワクチンギャップの解消
  • 医療の海外展開
  • 生活支援ロボットの国際標準化

③科学技術イノベーション・情報通信

  • 我が国が強みを持つ学問分野を結集したリーディング大学院の強化を図り、成長分野などで世界を牽引するリーダーとなる人材を国際ネットワークの中で養成するなど、産官学の知識を結集して世界トップレベルの研究開発及び成果の還元を推進し、技術革新を促進します。

  • 民間企業と大学、国立研究所などが研究の外部連携効果を実現するための横断的な取り組みを誘導・推進します。ICTについて、世界をリードする技術とサービスの革新を目指し、国際的な競争や連携を視野に入れた新しい競争・規制政策を確立します。

  • 産官学の強力な連携体制により、ロボット開発、IoT(モノのインターネット)の推進、ビッグデータの利活用などを図り、国民生活のあらゆる分野で課題解決型の先進的なサービスの提供と質の高い雇用の創出を実現し、国民の暮らしを世界一豊かにしていきます。

  • 基礎研究への公的支援の充実、応用・実用化研究への民間企業による投資拡大の仕組みづくりを進めます。

【最重点施策】
  • 遠隔医療の推進(再掲)
  • 自動運転の推進
  • ICTによる地域コミュニティ(地域の絆)の再生
  • ICTの防災・減災対策への活用
  • IoT・ビッグデータ・AI時代に合わせた産業革新
  • 教育現場のICT化の推進

④中小企業

  • 経営努力に傾注し、地域雇用を担っている中小企業を財政面、金融面から支援します。

  • 自らマーケティング、製品開発、海外を含む販路開拓、他業種との連携などが可能となるよう、支援体制の強化とワンストップ化を行い、系列化、下請け化からの脱却を図ります。

  • 資金・経営手法・経営人材などの面から総合的に創業者を支援し、開業率の向上を目指すとともに、第三者保証の禁止などを通じ、第二創業へチャレンジしやすい環境整備を行います。

  • 官民金融機関による中小企業・零細事業者への支援機能について、事業の収益性に基づいて融資を行うプロジェクト・ファイナンスを含め、強化します。

【最重点施策】
  • 正規労働者を増やした企業の社会保険料事業主負担1/2相当額の軽減
  • 中小企業の海外展開支援
  • 事業承継やM&Aに関する施策の充実
  • 第二創業の推進
  • 中小企業金融円滑化法の制定

⑤農林水産業

  • 農業者戸別所得補償制度の復活による所得安定、農地の一層の集約を通じた生産性向上などにより、「農業の基盤強化」を図ります。

  • 6次産業化や輸出促進、農産品及び加工品の高付加価値化による「農業の成長産業化」を目指します。

  • これらの取り組みを通じ、新規就農者の確保と定着、農村の活力向上を図り、農業を地方再生の柱として打ち立てていきます。

【最重点施策】
  • 農業者戸別所得補償制度の復活、法制化
  • 若者・女性に対する就農支援
  • 適切な森林管理をする者に対する直接支払
  • 国内農林水産物の輸出増に向けた戦略的支援

⑥金融

  • 世界の金融センターとしての地位を確立すべく、我が国の金融・資本市場の機能向上を図ります。

  • 成長資金が必要な主体に対して、円滑、効率的かつ効果的に供給されるよう、政策金融機能と産業金融の役割を整理します。

  • 民間金融機関の取引先支援機能を強化します。

【最重点施策】
  • 総合取引所の実現
  • 金融サービスの環境変化への対応
  • 地域金融円滑化法の制定(再掲)
  • 法定開示監査制度の一元化

⑦観光

  • 交流人口の増加により国内観光需要を喚起することで、地方経済の活性化や地方の雇用機会の創出を促進します。

  • 為替動向に影響されない安定的な交流人口の確保を企図し、観光資源の質的向上を図ります。

  • 観光需要を地域経済のエネルギーにするため、観光をマネジメントする人材を育成するとともに、有給休暇を取りやすくします。

  • 観光における日本の強みは、文化・芸術、食文化であることも踏まえ、総合的な施策を展開します。

【最重点施策】
  • 空港・港湾使用料の低減
  • 文化・芸術の海外発信
  • 税関、出入国管理、検疫の増員

⑧アジア太平洋経済

  • 経済的な連携を進めるとともに、我が国企業等の海外ビジネスの展開を拡大し、その果実を国内に還流させます。

  • 世界経済の20世紀型二極体制(欧米)から21世紀型三極体制(米欧亜)への変化も踏まえ、近隣諸国との関係改善(隣交)を進め、経済的利益の増進を図ります。

  • FTAAPに向けた日中韓、RCEP等についても早期の妥結を目指す中で、自由貿易体制の発展にリーダーシップを発揮しつつ、日本としての利益の最大化を図ります。

【最重点施策】
  • 文化・芸術の海外展開支援
  • JAPANブランド発信
  • 知的所有権の保護

⑨生活・雇用

  • 同一価値労働同一賃金やワークライフバランス等を推進し、雇用の質の向上を図ります。

  • 中小企業に適切な支援を行いつつ、最低賃金を引き上げること等により、健全な企業の育成を図ります。

  • 人材を必要とする成長産業へ適切に労働移動を促すため、再教育・再訓練の促進などにより「雇用の安定・確保」を促進します。

  • 女性の社会進出を促進する観点も含め、結婚・出産前後の女性が働きやすい環境を整備することでM字カーブを改善するとともに、結婚などに対する多様な選択肢を受容する社会・制度を整えます。

  • 働くことを希望する高齢者が、豊かな経験と能力を発揮できる環境を整備するなど、全ての人に居場所と出番がある社会をつくります。

【最重点施策】
  • 女性登用への支援等
  • 地域企業就職者への支援
  • 結婚などに関する多様な選択肢
  • 出産、子育て支援の強化
  • 転職のための再教育の機会確保
  • 高齢者が働きやすい環境の整備

⑩人材育成

  • 家計の状況にかかわらず学べる環境を整備します。

  • グローバルに通用する高度人材の育成・確保を図るとともに、地域社会・経済を支える人材を育成するため、実践的な職業教育・職業訓練を強化します。

  • 教育・研究開発・文化・スポーツ分野への投資を大幅に拡充します。

【最重点施策】
  • 外国語教育等の充実
  • 高等教育における職業教育の充実など
  • 所得制限のない高校無償化
  • 良質な学びの機会の提供
  • 科学技術を担う人材の育成
  • 文化・スポーツの指導人材育成等
  • 情報人材(特に、IoT・データリテラシー人材)の育成・確保

⑪国土・地域活力

  • 人口減少社会の中でのコンパクトシティ、大都市等の再生等に重点的に取り組み、持続可能で活力ある国土・地域の形成を図ります。

  • 地域内での購買活動推進、エネルギーの地産地消などにより地域循環型社会を構築し、地域経済活性化を図ります。

  • 地方自治体への権限・財源移譲を推進し、地域が自主性・独自性を発揮して切磋琢磨できる環境を整え、日本全体の底上げを図ります。

  • 総合特区制度をさらに活用し、包括的・先駆的な地域のチャレンジを総合的に国が支援して地域起点の規制改革を促進し、成功事例を全国に展開します。これに対し、国家戦略特区については、一部の利害関係者による恣意的・利益誘導的な運用の疑いが指摘されているため、国家戦略特別区域法の適用を停止するとともに、制度の抜本的見直しを進めます。

  • 新しい公共やPPP(官民連携)などを積極的に推進することなどにより、地域の自主性・独自性がより発揮できる環境を整えます。

  • 東京一極集中が地方の疲弊を招いています。一方で、都市居住者の多くは長い通勤時間にストレスを感じ、生産性の低下を招いています。これらの問題を解消するため、「職住近接」、「商住近接」、「医住近接」の「3つの近接」を基本とするコンパクトシティの形成を図ります。

  • 東京からの本社機能の移転、工場などの誘致に加えて、農林水産業、中小企業・創業支援、観光、スポーツ等の施策により、地域に眠る資源を積極的に活かすことで地域産業の活性化を図り、安定した雇用を地域で創出します。

【最重点施策】
  • 首都機能移転・分都構想の検討
  • 地方支分部局の地方移管、選択的道州制
  • マンション建替え総会決議の要件緩和
  • 中古住宅関連産業等の活性化
  • 空き地・空き家対策
  • 社会基盤の老朽化対策
  • 地域仮想通貨

第4次産業革命

  • 世界で進行中の第4次産業革命(IoT、ブロックチェーン、ロボット、人工知能、ビッグデータ、自動運転等の多岐にわたる技術革新)については産官学・中小企業と大企業・国内外の企業家など異分野のプレーヤー同士を結び付ける手法(オープンイノベーション)を積極的に活用し、日本発の「世界でたたかえる産業」を育成します。

  • 国の研究開発のあり方を質・量ともに変革します。科学研究費補助金(科研費)をさらに増やし、ITやIoT、ロボティクス、データ解析、サイバーセキュリティ、ヘルスケア、教育、宇宙などの分野を重点的に強化します。

  • 交通事故の削減、高齢者等の移動支援や渋滞の解消などに資する自動運転の実現に向けて、特定条件下における完全自動運転(レベル4)について可能な限り早期に実現するとともに、完全自動運転(レベル5)を世界に先駆けて社会実装できるよう開発を加速します。

「ソサエティ5.0」の実現

  • 先端技術を、物流や介護など、あらゆる産業や社会生活に取り入れ、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会「ソサエティ5.0」を実現します。

どこでもWi-Fiの実現

  • どこでもギガを気にせずネットを楽しめるよう、全国の駅前や飲食店など、人が集まる場所の無料Wi-Fiスポットの設置を支援します。