田園からの産業革命

(農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化)

  • 農家所得・新規就農者の増大、食の安全・安心の向上につながった農業者戸別所得補償制度を復活・法制化し(米の場合、15,000円/10a)、恒久的・安定的な制度にします。あわせて、環境の保全に資する度合いやGAPへの取り組み、中山間地域に対して加算を行う等、総合的な制度へ、バージョンアップを図ります。

  • 収入保険制度については、農業者戸別所得補償制度と一体となって真に農業者の経営の安定に資する内容になるよう、制度の対象となる農業者の範囲や対象作物等について検討します。

  • 農業者戸別所得補償制度とともに、耕地利用率や農業生産力の向上に向けた施策及び食育・地産地消の取り組みを総合的・一体的に推進し、食料自給率50%を目指します。

(農協改革)

  • 農家の所得向上と経営の安定を図るのみならず、生活や医療、福祉など地域における様々な機能を支える組織として農協を位置付けるため、「地域のための農協」を法律に位置付けることなどを柱とする農協法改正案の成立を目指します。

  • 農業協同組合が100%民間出資の団体であることに鑑み、農協のあり方については自主性を重んじ、その自主改革案を後押しするとともに、JAの准組合規制に反対し、経済活動に対して過剰な介入を政府は行わないこととします。その際には、信用・共済事業においては、 他の類似事業との関係の在り方を検討します。

  • 農協など、地域に根差した協同組合の活動や、協同組合間の協同・連携を促進します。

(新規就業者支援等)

  • 人・農地プランの作成により、多様な経営体の育成を図りつつ、農地の有効活用、農村の維持・発展など、今後の方向性を明確にする取り組みを支援します。また、中核的な担い手の育成や農地集積を図る中で、青年就農給付金制度の充実などを通じて意欲と能力のある若者・女性農業者等に対する積極的な支援を行います。農林水産業における新規就業者への給付金の充実等を図ることによって、新規就業をさらに促進し、地域のリーダーの育成策を講じます。

  • 夫婦の一方が生まれ育ち、親が住んでいる(または住んでいた)故郷に帰農する場合、年最大250万円を給付する「夫婦ふるさと帰農支援給付金」制度を創設します。「農業次世代人材投資事業」(民主党政権で創設した「青年就農給付金」制度)を充実・強化し、農業後継者の就農を強化しつつ、過疎地の活性化を図ります。

  • 農林水産業経営専門マネージャーなど、農林水産業経営に特化した専門家の育成や採用を進めます。

  • 特色ある農林水産高校を活用し、新規就業者の確保を進めます。

(畜産・酪農)

  • 将来展望を持って畜産経営が行えるよう、飼料高騰への対応を行うとともに、畜産・酪農所得補償制度の導入に向けた検討を行います。

  • 中長期的な視点に立ち、水田等地域資源の有効活用による自給飼料基盤確立に向け、飼料政策の一層の展開を図ります。

  • 地域の特色に応じたブランド力の高い畜産・酪農経営を支援します。

  • 小規模でも継続可能な酪農生産、酪農を主産業とする地域経済の安定化を目指します。

  • 人やモノの国内への流入が増加する中で、海外で発生しているアフリカ豚コレラや口蹄疫、鳥インフルエンザをはじめとする家畜伝染病の海外からの流入を水際で徹底阻止するため、検疫探知犬の育成と配置の充実、家畜や畜産物輸入に対する万全の検査体制の整備、許可のない肉製品(肉・ソーセージ)等の持ち込み者に対する上陸拒否など、検疫体制を強化します。

(園芸作物(野菜・果樹・花き・茶等))

  • 野菜・果樹・花き・茶等を含む総合的な収入保険制度を検討します。生産状況等を的確に踏まえた上で、世界各地への輸出も視野に入れ、改植及びこれに伴う未収益期間における経費支援等、引き続き園芸作物の戦略作物化も含めた効果的な生産振興を図ります。

(都市農業)

  • 都市農業の機能や効果が発揮できるように、市民農園のさらなる開設に向けた取り組みを含め、生産緑地等の持続可能な都市農業を守るための政策の推進を図ります。

  • 都市農業振興基本法に基づき、都市農地を「なくてはならないもの」として制度上明確に位置付けるとともに、都市農業の実情を踏まえた支援措置の創設を図ります。生産緑地指定の下限面積を引き下げ、対象農地を貸借した場合における相続税納税猶予制度の継続適用の拡大や、農業経営の安定的な継続を可能とする固定資産税の減免等の税制改正を検討します。

(安定した農林水産政策の実現)

  • “猫の目農政”が生産者に混乱を与えていることから、政権交代や政権の枠組みに変更があった場合であっても、基本的な農林水産政策が維持・継続が出来るよう、その仕組みづくりを検討します。

(輸出促進)

  • 日本の農林水産物の魅力や、ユネスコ無形文化遺産である「和食」など日本の食文化を世界に向けて発信し、販路拡大を含め輸出倍増に向けた戦略的施策を推進します。きめ細かい情報提供などによって輸出促進にむけた農林漁業者の取り組みを促進します。

  • 農林水産物輸出を促進し、農業における「グローバルG.A.P.」(農業生産に関する国際基準)、食品加工業における「HACCP」、林業における「FSC」、漁業における「MSC」「ASC」どの農林水産分野の国際認証取得を推進します。

  • 国際的評価の高まる國酒(日本酒)、ワインやウイスキー、焼酎など日本産酒類の生産・流通支援、文化の発信、輸出の促進を行います。

林業の活性化

  • 国有林・民有林において、公益的機能を維持しつつ、木材の安定供給を図り、木質バイオマスや木製サッシの推進を含めた住宅などへの国産材の活用や、海外への木材輸出を促進し、ドイツのような林産業大国を目指します。

  • 国民の約3割が罹患しているスギ花粉症の対策強化を図るため、スギ人工林の伐採・利用・植え替えの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発をさらに進めます。

  • 森林・林業再生プランに基づく木材の安定供給の強化、国産材の利用促進、また、フォレスターやプランナーなどの山の専門家の育成等を支援します。適切な森林管理をする者に対する直接支払を維持します。合法伐採木材の流通と利用を促進します。

  • 間伐等を実施する上で森林所有者が負担する費用相当額を交付する直接支払制度の充実を図ります。

  • 路網整備や大型機械導入への支援、販路開拓など流通ルート各段階における支援の強化、森林施業集約化をさらに進め、林業の発展と雇用の拡大を図ります。その際、林業における労働安全衛生の徹底を図ります。

  • 木材は、製造時の炭素放出量が少ない優れた省エネ材料であり、炭素貯蔵による温暖化抑制効果とともに、高い断熱性、調湿作用、抗菌作用を有し、木の香りにはリフレッシュ効果等があることから、住宅や公共建築物の木造化の推進、CLTの活用、木造住宅ポイント制度の推進などにより、木材利用を促進します。

漁業の活性化

  • 「漁業者所得補償制度」(資源管理・漁業所得補償対策)及び「漁業経営セーフティネット構築事業」の拡充や税制の見直しなどにより、高騰する燃料・飼料価格に対する支援の充実を図ります。また、省エネ・省コストな漁船の導入支援、漁船リース事業の推進、広域回遊種を含めた資源増大、国内消費の拡大などに努め、漁業経営の安定を図ります。

  • 漁村集落が行う海の清掃、稚魚の放流等の取り組みなど、多面的機能の発揮に着目した直接支払制度を創設します。

  • 水産資源の乱獲が行われた場合、その再生産力が阻害され、資源の大幅な低下を招くおそれがあることから、資源管理の強化・拡充を行い、その持続的利用の確保を進めます。

  • 審議不十分なまま成立した2018年の改正漁業法について、現場の声を聞き、真の水産業発展に資する観点での見直しを求めていきます。

食の安全・安心を守る

(食の安全)

  • 種子法を復活し、種子は日本の「農」と「食」を支える根幹として、主要農作物の安全性確保を図ります。

  • 安全・安心な農産物・食品の提供体制を確立するため、輸入農産物を含めあらゆる分野における食品トレーサビリティを促進します。

  • 安全性に懸念のある輸入食品の増加を踏まえ、予防原則・未然防止の観点から、遺伝子組換え食品の表示を厳格化するとともに、肥育ホルモン剤の利用状況を消費者に伝達するスキームの構築に取り組むなど、消費者の権利に応える施策の推進を図ります。

  • 一人ひとりの健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保などを図るために食育を推進します。

  • 食の安全確保に向け、内閣府・消費者庁・厚生労働省・農林水産省など関係政府機関の連携を強化するとともに、窓口のワンストップ化を進めます。

  • 地域の水田農業と国内農産物の安全・安心を確保し、消費者が求める品質の生産を促し、それに見合った適正な価格形成ができるように、コメの等級制度など、農産物検査法の見直しを進めます。

(国産農水産物の消費拡大)

  • 学校給食への利用拡大を含めた地域の食材の活用拡大を図り、食育・地産地消等の推進を通じて農水産物消費の拡大に努めます。

6次産業化により農山漁村を地域再生の核に

(6次産業化)

  • 農林水産物の付加価値を高め、農林水産業者の所得の向上と地域の雇用のさらなる創出を図ります。農林漁業成長産業化支援機構法に基づくファンドの健全性に留意しつつ、施策を推進します。

(農村機能の維持・地域の活力等)

  • グリーンツーリズム等、都市と農山漁村の交流の推進等を含めた複合的な農政の展開により、共同体の存続を前提とした農村機能の維持を図り、地域の力をさらに活性化させます。自然災害に強い農林漁業生産と、担い手が安心して経営に取り組めるよう、必要な農業農村整備事業等については受益者負担の軽減を図りつつ進めます。

(農山漁村における再生可能エネルギーの促進)

  • 農山漁村の土地、水、バイオマスといった豊富な資源を活用し、地域の規模に応じた発電事業による地域還元等を通じ、農山漁村の活性化を図ります。

(中山間地農業等の推進)

  • 中山間地における農村自体が共同体として存続し、農業を継続していけるような体制の整備を推進します。

  • 農業生産活動の基盤の維持及び整備、中山間地域その他条件不利地域の農業支援、有機農業など自然環境の保全に資する農業支援を進めます。

(鳥獣被害対策)

  • 近年の野生鳥獣の出没急増、それに伴う人的被害や農作物被害の深刻化といった実態を十分に踏まえつつ、①生息地管理、②中山間地域活性化、③被害防除を3本柱とする対策のさらなる充実を図ります。その際、人の安全確保と農作物被害防止のための措置を確実に講じつつ、広葉樹林・針広混交林など野生鳥獣の生息しやすい森林整備を通じた被害軽減、可能な限りの生態系の再生・回復等に取り組みつつ、田畑の鳥獣被害の抜本的解決を目指します。また、ジビエ特区創設について検討します。