衆院本会議で質問する白石洋一議員

 衆院本会議が19日午後開かれ、国民民主党の白石洋一議員が「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案」について関係大臣に質問した。

 本法案は民事執行制度をめぐる最近の情勢に鑑み、債務者の財産状況の調査に関する規定の整備、不動産競売における暴力団員の買受け防止に関する規定の新設、(離婚した夫婦間の)子の引き渡しの強制執行及び国際的な子の返還の強制執行に関する規定の整備等を行うもの。

 白石議員は政府の法案提出にあたり、性格の異なる政策課題や別の法律を無理に一緒にした「たばね法案」となっていることを第一の問題点として指摘し、山下法務大臣に提出法案の組み立てを再考し、分離して出し直すなどの検討を求めた。

 第二の問題点として、「債務者財産の開示制度の実効性の向上」について、一般の国民が債権者にも債務者にもなりうる可能性に鑑みれば、制度の運用について丁寧な対応が求められるとし、「権利実現の保障は当然だが、プライバシーや個人情報等の債務者保護の視点が軽視されてはいけない」と指摘した。また、厚生労働省の調査を引用し、「2016年に母子家庭で養育費の取り決めをしていたのは43%、実際に受け取っていたのは24%にすぎない。わが国のひとり親世帯の貧困率は50.8%でOECD諸国でも最悪レベルだ」と強い懸念を示した。「養育費の支払いについてきちんと文書で残しておくなどのルールづくりを進めるとともに、母子家庭などに対する就業、自立支援事業を強化すべき」と、山下法務大臣と根本厚労大臣に求めた。

 第三に、「不動産競売における暴力団員の買い受け防止の方策」について。暴力団対策法も暴力団排除条例も適用されない「半グレ」といわれる、暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す集団による犯罪的行為も看過できないとし、「半グレ」による購入の多い、落札価格が極端に安い物件については、買い受けについて別途厳格な資格要件を課すなどの方策を講じるべきとした。

 最後に、「子の引き渡しの強制執行に関する規律の明確化の見直しなど」について。今回の法改正は、「子の人権・福祉・心情に十分な配慮することが大前提だ」とし、同居中の親がいなくても引き渡しが可能となるのであれば、人目のある場所ではなく、主として自宅での引き渡し、児童心理の専門家の関与と来年度の予算措置を求めた。また、「ハーグ条約実施法に基づく国際的な子の返還の強制執行に関する規律の見直し」に関する検討が法制審議会での議論の終盤に追加され、国内法の規律を踏まえた内容が盛り込まれたことは適切だとした上で、昨年5月に公表された米国務省の年次報告書で日本がハーグ条約の「条約不履行国」に分類されるほど、厳しい国際的批判にさらされてきた経緯があることを指摘した。国内の子の引渡しの強制執行は年間100件程度であるのに対して、国際的な子の返還の代替執行は年間1、2件程度しかないことから、今回の改正による実効性の向上と国際的な汚名返上を求めた。

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