古川元久災害対策本部長と田村まみ参議院議員は1日、栃木県栃木市、佐野市、宇都宮市を訪問し、台風19号による河川や鉄道、学校、住宅、農業への被害と復旧の状況を視察した。視察には栃木県連会長の斉藤孝明県議会議員、県連幹事長の落合誠記壬生町議会議員が同行した。
栃木市では永野川が氾濫に加え、内水被害で床上浸水7000軒、床下浸水6800軒の被害が発生した。大きな道路での土砂の撤去、清掃は進んでいるが、ブロック塀や柵が倒壊したままで、濁流の勢いの強さを物語っていた。
永野川の氾濫の被害を受けた栃木県立栃木工業高等学校では、校舎や体育館が2メートル近く浸水し、実習用の旋盤機械やパソコンが浸水したため、約11億円の被害を受けた。自衛隊が重機で校舎内の泥を撤去と清掃作業を支援し、今週から授業を再開しているが、生徒や教職員が引き続き片付けや清掃を進めている。グランドやテニスコートに泥が堆積したままで、復旧までには時間がかなりかかるとのことだった。
次に、永野川の堤防が120メートルにわたり決壊し、JR両毛線の鉄道盛土のバラストが流失した現場を訪れ、栃木土木事務所長から被害状況と復旧工事について説明を受けた。両毛線の線路は他にも数か所で破損し、復旧後の開通は11月中旬が見込まれ、その間はバスで代替輸送が行われる。
佐野市では、秋山川が決壊し住宅1500軒が床上浸水、1200軒が床下浸水の被害を受けた。秋山川の堤防、土手の決壊現場、住民が生活道路として使う橋の崩落現場を回った。
一行は田島地区のいちご農家を訪ね、ビニールハウスの中のいちごの苗が泥をかぶり、濁流の勢いでビニールハウスの柱が折れた被害を視察した。これから収穫期を迎えるいちごが出荷できなくなってしまい、ハウスを再建できるか心配だとの窮状について伺った。古川本部長は、「農業を再開し、後継者に引き継げるよう、できるだけの支援をして行くように政府に働きかける」と応じた。
次に、秋山川の海陸橋西岸の決壊現場を視察した。決壊した堤防には土嚢を積み上げブルーシートを被せた応急措置がされていたが、本復旧に向けた工事が急がれる。公道の泥の撤去、復旧は市が行うが、住宅や民有地、私道の泥の撤去や清掃は住民が行わなければならず、今後もボランティアの人手が必要になるとの説明を受けた。
次に災害ゴミの仮集積場となっている栄運動公園野球場でを訪れ、岡部正英佐野市長から説明を受けた。住民が自家用車や軽トラックで災害ゴミを次々に運び込み、家電製品、畳、木材などゴミの種類別に定められた区域に廃棄していた。集積したゴミを処理するには1年くらいかかる見通しで、市長からは広域処理の実施の要請があった。古川本部長は、「これだけ大きな災害なので東日本大震災並みの対応が必要だと思っている」との認識を示した。佐野市の視察には慶野常夫佐野市議会議員が同行した。
宇都宮市では田川の氾濫で急激に水位が大人の胸の高さまで上がり、住宅からボートで救助される事態となった。川岸のゴミの撤去をボランティアが進めているが、まだ橋の下や柵に枯草やゴミが絡まっている部分が残っていた。住宅が浸水した千波町、東塙田地区の被害状況を歩いて見て回り、浸水被害のあった住民や商店主から話を伺った。床下浸水であっても、床や壁が損傷してかなりの被害が出ているので助成してほしいとの要請があり、実態にあったきめ細やかな支援が求められていることが分かった。